こんにちは、saiです。
ヨルシカにハマりにハマり、もはや彼らの曲を聴くことは生活の一部と化しているほど聴きまくっている私です。n-bunaの紡ぐ突き刺さる歌詞をマイナスイオン出てるんじゃないかと感じるくらいのsuisの優しい歌声で包み込まれる楽曲に完全に心を射抜かれています。
ぜひ皆さんにも知ってほしい聴いてほしい。というわけで今回はこれだけは聴いてほしいという曲を10曲選びました。
一生聴ける珠玉のリストとなっています、どうぞ。
ヨルシカのおすすめ名曲10選!
①藍二乗
1stフルアルバム『だから僕は音楽を辞めた』収録。
アルバム『だから僕は音楽を辞めた』は音楽を辞めることになった青年“エイミー”がスウェーデンを旅しながら”エルマ”へ向けて作った設定の楽曲です。
この藍二乗は疾走感溢れるロックチューンながらも音楽を辞めることになったエイミーの絶望感と諦念に満ちていて、冷たく寂しい風が鋭く心に吹きつけてくるような感覚を覚えます。
あの頃ずっと頭に描いた夢も大人になるほど時効になっていく
人生は妥協の連続なんだ そんなこと疾うにわかってたんだ
エルマ 君なんだよ 君だけが僕の音楽なんだ
“時効”や”妥協”という言葉が数度使われていますね、エイミーの諦念と絶望が読み取れます。またエルマに向けた「君だけが僕の音楽なんだ」は次に紹介する楽曲の歌詞と対になっています。
タイトル”藍二乗”の”藍”はMVでエイミーが使用している万年筆のインクの色、そして二乗すると-1になる虚数”i”を示しているのではないかと言われています。虚数とは現実には存在しない実数のことなので、今そばにいないエルマを想って書いたのか、あるいは自分自身のことを歌っているのかもしれません。
②心に穴が空いた
2ndフルアルバム『エルマ』収録。
ヨルシカの楽曲の中で筆者が個人的に一番胸が裂かれるような想いになるのがこの『心に穴が空いた』です。アルバム『エルマ』は前作『だから僕は音楽を辞めた』で旅をしていたエイミーから送られてきた手紙に影響を受けた少女エルマが曲を手掛け、エイミーと同じ道を辿るという設定になっています。
歌詞からも読み取れるようにエルマはエイミーに多大な影響を受けています。
君の口調を真似した 君の生き方を模した
何も残らないほどに 僕を消し飛ばすほどに残ってる
しかし、エイミーは絶望の末に自ら命を絶ってしまいました。もう二度と会えない悲しみや苦しみはエルマの心に大きく穴を空けるのです。
心の穴の奥に棲んだ 君の言葉に縋り付いた
でも違うんだよ もうさよならだなんて一生聞きたくないよ
忘れたいことが多くなって これから僕だけ年老いて
冷め切って 冷め切って
この歌詞とか本当、悲しすぎませんか。
今ならわかるよ「君だけが僕の音楽」なんだよエイミー
そして『藍二乗』の歌詞に応えるようにエルマはエイミーだけが僕の音楽なんだと返します。
③パレード
1stフルアルバム『だから僕は音楽を辞めた』収録。
suisの柔らかく優しい歌声がすっと心に沁みてくるこの曲ですが、エイミーとエルマの物語を知れば知るほど切なく響いてきます。
乾かないように想い出を 失くさないようにこの歌を
忘れないでもうちょっとだけでいい 一人ぼっちのパレードを
エイミーは音楽を辞めて自ら命を絶ってしまいますが、もうこの時点で死を覚悟してエルマとの想い出が色あせないように失くさないようにこの詩を作ったのかも知れません。
ずっと前から思ってたけど
君の指先の中にはたぶん神様が住んでいる
エルマを讃えながら、エイミーは想い出に浸ります。もう少しだけでいい、もうちょっとだけでいいと繰り返すのは少しでも長くエルマとの想い出に縋り付いていたい名残惜しさ。そう考えると、『パレード』の切なさが一層沁みてきませんか。
④だから僕は音楽を辞めた
1stフルアルバム『だから僕は音楽を辞めた』収録。
アルバムの表題曲ともなっている衝撃的なタイトル。エイミーの自暴自棄感や劣等感がさらけ出されるように鮮烈に描かれており、周囲や環境のせいにして自己を正当化したいけど本当は自分が間違っていることがわかっている心情が胸に突き刺さります。
考えたってわからないし 生きてるだけでも苦しいし
音楽とか儲からないし 歌詞とか適当でもいいよ
どうでもいいんだ
ちなみに筆者はこの曲でヨルシカにハマりました。こんなに耳に残るノリの良いサウンドなのに、なんて絶望的な曲を作るんだろうと感動したのを覚えています。
⑤ノーチラス
2ndフルアルバム『エルマ』収録。
『ノーチラス』も『パレード』のように優しい旋律と歌声が沁みる曲となっています。数あるヨルシカのMVの中でも最も胸がギュッと締め付けられるものだと思っています。なぜならエルマがエイミーの残したギターを持って泣きながら歌うところから始まり、その後はエイミーが遺書のように歌詞を綴りながら路上で歌い音楽に絶望していき、そして『花緑青と云うのは毒性の人工染料だ』と書き残した文章が映され、その毒を飲み海に飛び込んで命を絶ってしまうという衝撃的な内容になっているからです。
エルマはエイミーの旅の軌跡を辿って最終地点のここにたどり着き、ギターと詩を見つけて慟哭するのです。
アルバム『エルマ』はエイミーに影響を受けたエルマが詩を綴っているものですが、最後に収録されている『ノーチラス』だけはエイミーが作詞したものと思われます。なお、表題はフランスのSF作家ジュール・ヴェルヌの小説『海底二万マイル』に出る潜水艦ノーチラス号からの引用で、眠りからの目覚めと深海から浮上するそれのメタファーだとn-bunaが述べています。
⑥靴の花火
1stミニアルバム『夏草が邪魔をする』収録。
静かにゆっくり始まりながら、花火が打ち上がるようにサビで大きく歌い上げるsuisの歌声が印象的です。
僕の食べた物 全てがきっと生への対価だ
今更な僕は ヨダカにさえもなれやしない
n-bunaが影響を受けている宮沢賢治の小説『よだかの星』をオマージュしている作品でもあります。
⑦ただ君に晴れ
2ndミニアルバム『負け犬にアンコールはいらない』収録曲。
youtubeのオフィシャルチャンネルで最も再生されている曲であり、2020年8月に一億再生を突破しました。「ヨルシカ=夏」といってもいいほど夏を想起する楽曲が多いのですが、その最たるものが『ただ君に晴れ』でしょう。
バス停の背を覗けば あの夏の君が頭にいる
夏日 乾いた雲 山桜桃海 錆びた標識
記憶の中はいつも夏の匂いがする
夏のキーワードが断片的に歌われることで曲を通して記憶が思い起こされ、ほのかに夏の匂いがしてくるようです。また、「絶えず君のいこふ 記憶に夏野の石一つ」は正岡子規の俳句「絶えず人いこふ 夏野の石一つ」へのオマージュとなっています。
ヨルシカのファンクラブ「後書き」のコラムではn-bunaが曲の作られた経緯や背景が語られることがありますが、正岡子規や種田山頭火、尾崎放哉といった俳人もよくコラムに登場し、n-bunaがいかに文学に影響されてきたかがわかりますし、その造詣の深さにも圧倒されます。
⑧八月、某、月明かり
1stフルアルバム『だから僕は音楽を辞めた』収録曲。
エイミーとエルマの物語にn-bunaが自分自身の経験と心情を重ねて書くことでリアリティを育ませようとしたため、アルバムの楽曲には多数n-bunaが実際に暮らしていた地域などが固有名詞で登場します。この『八月、某、月明かり』に登場する「東伏見」「小平」「富士見通りと商店街」「ストックホルムの露天商」「キルナ」「ガムラスタンは石畳」などがそうです。そんな風にエイミーに自身を投影させて書いた部分があるため、いまだに中々聞き返す気が起きないと語っています。
最低だ 最低だ 僕の全部最低だ
君を形に残したかった 思い出になんてしてやるものか
リアリティが乗っているからこそ情景が浮かび、エイミーの悲痛な叫びが聞こえてくるようです。
⑨春泥棒
1stEP『創作』収録曲。
これまでヨルシカの楽曲は「夏」のイメージが強かったですが、この曲はド直球で「春」の曲です。桜の花を命に喩え、花を散らす風はすなわち時間。それはすなわち春風であり、桜を散らしていくから春泥棒だとn-bunaは語っています。
MVアニメーションの桜吹雪がとてつもなく美しいです。男が持っている本は俳人・山口青邨(やまぐちせいそん)の句集「庭にて」です。n-bunaの文学の造詣は多くの楽曲に散りばめられていますね。
また、春泥棒はLiveDVD『前世』にも収録されており、水族館のイワシの群れが桜色に照らされて幻想的な美しさとなっています。ぜひご覧になってみてください。
⑩風を食む
4th配信シングル。1stEP収録曲。TBS系『NEWS23』エンディングテーマ。
ヨルシカNo.1癒しソングといっても過言ではない『風を食む』。n-bunaは「タップひとつで物が買える現代社会で、消費することに疲れてしまった心を、最後に優しく包むような曲を書きたいと思いました」とコメントしています。suisの鼻歌が聴ける珍しい曲でもあり、歌いながら本人も癒されてるんじゃないかとさえ思ってしまいます。
棚の心は十五円 一つだけ売れ残った
値引きのシールを貼って 閉店時間を待った
棚の心は十五円からスタートして売れ残り、二割引きされても売れず、最終的に半額になるんですけど、ちょっと”心”安すぎない? ってのはいつかヨルシカと話す機会があったら聞いてみたいです。
以上10曲でした。
どうせならもう少し聴いてみませんか?
ここまで見てくださった皆さん、よかったら他の曲もせっかくなので聴いてみませんか。正直、10曲では到底納めきれないんです。というわけでもう少し、紹介させてください。
昼鳶
3rdフルアルバム『盗作』収録曲。
タイトルは「ひるとび」と読みます。suisの低音がたまらなく最高で、本当に同じ人が歌っているのかと、声の領域の幅広さ、深さに驚きを隠せません。私は実際この曲を初めて聴いた時、あれ、ヨルシカであってる? とアーティスト名確認したほどです。
また、「嫉む脳裏は舌打ちばかり」の歌詞の後に実際に「ティッ」とsuisの舌打ちが響くのがまた最高となっております。
盗作
3rdフルアルバム『盗作』収録曲。
“音楽の盗作をする男の物語”をバックグラウンドとして作成されたアルバム『盗作』の表題ともなっている曲です。男の音楽に対する飢えや渇きが綴られ、どれだけ盗んでもどれだけ書いても満たされない渇きが爆発しています。n-bunaは俳句や文学作品の一節を歌詞に用いたりしていますが、それを「盗む」ではなく「オマージュ」として正当に扱われることに疑問を抱いたのかもしれません。
「この世の創作物は何かしら重複するものがあるため完全なるオリジナリティは存在しえない」という考えがn-bunaの根底にあるからこそ生み出された盗作是非聴いて見てください。
というわけでおまけで2曲追加しましたが、本当はまだまだ紹介したいんですよ…『言って。』も『思想犯』も『花に亡霊』も『レプリカント』も『負け犬にアンコールはいらない』も『強盗と花束』もって言い出したらキリがないんですけど気になった人は他にも色々聴いてみてください。ヨルシカにぜひ浸ってください。