邦画

『おおかみこどもの雨と雪』を8年ぶりに観たら号泣した【ネタバレ感想】

こんにちは、さいちゃん(@saichans_b)です。

もうずっと前にこの作品観たことあって、そのときは「あぁ…なんて良い映画だったんだ…」と思ったことは覚えてるんですけど、どんなストーリーだったか記憶がかなり抜け落ちてて。そしたらHuluで配信されていることを知りまして、久しぶりに観てみようかなーとわりと軽い気持ちで観たら、めっちゃ泣きました。

考えてみると観るの8年ぶりなんですけど、その間に僕も結婚して子どもが生まれて父になって、そうすると本作の母親である花の苦労や大変さや必死さがぜんぶ伝わってきて、もう感情が完全に爆発しました。観る時の自分の状況や心境によって抱く印象は違ってくるから、名作は数年後にまた観てみるといいと思いました。特にこの作品は親になってから観るとさらに響きます。

あらすじ

大学生の花(宮﨑あおい)は、彼(大沢たかお)と出会ってすぐに恋に落ちた。 やがて彼が人間の姿で暮らす”おおかみおとこ”だと知ることになったが、花の気持ちが変わることはなかった。 そして一緒に暮らし始めた2人の間に、新たな命が生まれる。

予告

映画「おおかみこどもの雨と雪」予告1

 

以下、盛大にネタバレします。観てない人は観てからの方が楽しめると思います。

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どこまでもひたむきに生きる花に胸を打たれて涙

冷静に考えてみたんですけど、いや冷静に考えてなくてもなんですけど、花めちゃくちゃ強くないですか??? あんなにかわいらしくて華奢なのに、どんな逆境にも逃げ出さない、諦めない、花のそのひたむきな強さに胸を打たれます。声が宮崎あおいっていうのが先入観あるかもですけど、もう顔も宮崎あおいみたいにめちゃくちゃかわいい。

そもそも大学の講義中に気になった彼に積極的に声をかける勇気も度胸もすごい、おおかみおとこだけにどう見ても一匹狼な彼に躊躇いなく話しかけますからね。「さっきの講義教科書がないとちょっと難しいと思います。一緒に見ませんか!?」って、何それかわいすぎる惚れる。

 

花の名前の由来は、花が生まれた日に家の庭に(自然に)咲いたコスモスを見て唐突に父親が思いついたことからだそうです。「花のように笑顔を絶やさない子に育つようにって。辛い時とか苦しい時に、とりあえずでも無理矢理にでも笑っていろって。そしたら大抵乗り越えられるから」と。この言葉通り、花はどんなに辛い時も苦しい時も、歯を食いしばって笑っていました。

 

花は父子家庭で育ってきて、高校生の頃にその父も亡くなってしまいます(部屋に小さい頃の花とお父さんが手を繋いだ写真が飾ってあります泣)。人よりも辛い経験をしたからこそあんなに強く優しくなれたのかもしれないね。奨学金で大学に通って、クリーニング屋でバイトして生活費を稼ぎつつ、安アパートで慎ましく生きて。本当にえらい。

 

花は、おおかみおとこの彼と出会い、とても優しい彼に惹かれていきます。僕がとても素敵なシーンだと思ったところを引用します。

彼「家があったらいいだろうなぁ。”ただいま”って言う。靴を脱いで、顔と手を洗って、椅子に深く腰掛ける。いいだろうなぁ。本棚を作る。本でいっぱいになったら、また新しい本棚を作る。何をしてもいい、自分の家だもの」

花「じゃあ私が、”おかえり”って言ってあげるよ」

ここすごくよくないですか!?!? 家に帰るって何気ないことなんですけど、おおかみおとことして葛藤して生きてきた彼にとってはそれがすごく遠くて幸せな夢なんです。そしてそれを受け止めてくれる花という素晴らしい人に出会った。だから彼は花に自分の正体を打ち明ける決心をするんです。花のこの「じゃあ私が、”おかえり”って言ってあげるよ」の返しが100点満点中1000兆点。最高。

 

花はおおかみおとことわかってもちゃんと彼を受け入れ、愛しました。冬の雪の日に「雪」が生まれ、そしてその翌年の春の雨の日に「雨」が生まれます。でもその雨が生まれたその日に、彼は死んでしまうんです。

いや、まさかすぎる。もうここで花の気持ちを思うと胸が張り裂けそうになる。子どもが生まれるとただでさえ不安です。もし、心から信頼し、愛してる相手が突然亡くなってしまったら、どうして生きていけばいいか途方に暮れて絶望してしまう。しかも花が産んだのはただの子どもではなくて、おおかみこどもです。育て方もわかるはずがない、彼がいたからこそ花は安心して命を授かることができたのに、その彼がいなくなってしまったら…。

この先の未来を想像するだけで辛くて、過酷で、逃げ出したくなる。それでも花は彼が遺した免許証を遺影代わりにし、泣きながらでも前を向いて笑うんです。父親の言葉通り、たくましく、笑顔を忘れない花の強さ、本当に泣けます。

 

そもそも花、この時まだ大学生ですからね。休学せざるを得ないし、両親もおらず、周りに子育てが相談できる人もいない、さらにおおかみとなると尚更。睡眠時間を削っておおかみの知識を身につけ子育てをし、本当に大変だったと思う。子どもが病気になったら内科なのか動物病院かなんて、本当にどうすればいいんだろうね。いっそ世間におおかみこどもの存在がバレてしまうといいのでは…? と一瞬思ったんですけど、やっぱり雨と雪が世間からどう見られるか、恐怖や好奇の目に晒されることを考えるとそれは無理な選択でした。

 

まだ小さいおおかみこどもの雨と雪を育てながら都会で生活するのは無理がありすぎるから、田舎の家に引っ越します。それから言及されなかったけど大学はやめたんだと思います、さすがに。最初は怪訝そうな顔してた田舎の人たちも、ひたむきで健気な花に次第に協力的になっていくのが微笑ましかった。僕も田舎生まれだからわかるけど、おじさんとかおじいちゃんたちってやたらと親切で、聞いてもないのに色々と教えてくれるし野菜とかめちゃくちゃくれる。”厳格”という言葉をほしいままにしてそうなおじいちゃんがずっと気にかけてくれてたのよかったね、ほっこりした。

 

人間として生きていくことを決意した雪の強さ

長女の雪は、幼い頃から本当に活発でおてんばな女の子でしたね。いつも明るく笑い、野山を駆け回り、動物を追いかけ回し、ネズミや蛇とか捕まえて濱口ばりに「獲ったー!」と言いますから。

でも小学校に上がって、周りの女の子と自分が違うことに気づき衝撃を受けるんです。みんなが花や四つ葉のクローバーを探してる時にひとり腕に蛇(アオダイショウ)を巻きつけてたり、みんなが宝石やアクセサリーなどのキラキラしたものを集めているなかひとり小動物の骨や爬虫類の干物を宝物として集めていたり。でも雪がみんなに叫びながら逃げ出され、真剣に悩んでいるところに花がクスクス笑っていたのが好きでした。「雪の好きなようにしたらいいじゃない」と何気なく言っていたのが好きでした。

人間らしく、おしとやかに生きると決意した雪は、花に作ってもらった花柄のワンピースに救われながら、本当にかわいらしくおしとやかになっていきます。お母さん似なのかどんどん美人になっていくね、ありゃモテるなぁ。

草平の言葉に号泣する

草平がイケメンすぎて死にます。最初は転校生としてやってきて、堂々としててクラスにもすぐ溶け込んで、”自分を持ってる男”って印象だったんですけど、いち早く雪の”獣臭さ”に気づくあたり勘も鋭い男です。せっかくおしとやかな人間として生きることを決意したのにおおかみ人間であることを悟られるわけにはいかない雪は草平から逃げまくります。このとき、めちゃくちゃ避けて逃げてるのにどこまでも追いかけてくる草平には「おい!!しつこすぎやろ!!!」と怒りたくもなるし、追い詰められた雪が理性が崩壊しておおかみになって草平を叩いてしまったのは正当防衛だとも思うんですよ。自業自得というか、雪の気持ちも知らないでというか。

でも、草平からしたらもちろん雪の事情なんてわかるはずもないんですよね。だからこそ自分が避けられてる理由を聞いて、雪と仲良くなりたかった。自分から近づかない限りずっと避けられたままですから。

そしてこのとき、草平は雪の正体にもう気づいているんです。そして誰にも言えない秘密を抱えた雪の気持ちを理解し、尊重し、誰にも言わなかった。草平自身、母親の再婚・妊娠で疎外感を感じていながらも誰にも話せない事情を抱えていたから、雪に共鳴するところはあったんだと思う。

 

あの台風の日、草平がそんなナイーブな話を自分にしてくれて、そして笑ってみせたからこそ雪は自分がおおかみこどもであることを話す勇気を得ました。でもとても怖かったと思う。本当のことを話すと嫌われるかもしれないし、そうでなくても今までみたいに接してくれなくなるかもしれない、関係もぎこちなく変わるかもしれない。とてもとても怖かったと思う。でも、ちゃんと秘密を話せた雪は本当に強い勇気の持ち主です。そしてこの時の草平の返しが超絶イケメンで天才で最強で大好きで号泣しちゃいます。

 

雪「言わなきゃってずっと思ってた。今まで、苦しかった」

草平「…わかってた。ずっと。雪の秘密、誰にも言ってない。誰にも言わない。だからもう、泣くな」

雪「(涙)…泣いてないよ、雫だもん」

 

草平大好きだーーーー!!!!!

雪のおおかみの姿を見てもまったくたじろぐことなく「ずっとわかってた」という返し、もうこれ以上雪の心を安心させてくれる言葉なんてないです。だって草平はずっと前からわかってたのにも関わらず雪とずっと仲良くしてくれてたんだから。この告白によって草平が変わることがないという証明なんです。最高。草平ほんとに最高。最初雪をしつこく追い回してた時ちょっとイラついてまじごめん。

 

雪は翌年、中学の寮に住んで家を出て、草平や友人たちと仲良く普通の学校生活を送るようになります。もう大丈夫。雪は人間として生きる道を立派に選び、草平という理解してくれる友人(恋人になるといいね)もいるからね。

おおかみとして生きることを選んだ雨の成長

雪は人見知りもなくコミュニケーション力が長けていたから人間社会にも溶け込むことができたけど、雨はそうでなかったし自分の存在のあり方に雪よりもずっと悩んでいました。小さい頃から気弱で病気がちで雪とは正反対だった雨は、ある冬の日に動物への恐怖心がなくなってから次第に強く成長していきます。

 

おおかみ人間とは何か?自分の存在意義とは?

 

雨は悩んだ末に、おおかみとして生きる道を選びます。それが雨にとっては心地よかったんです。山で出会った一匹の狼(先生)からあらゆることを習い、天候や生態の知識を身につけていき、とても生き生きとしていた。確かにそれらは花や学校から教わることはできないからね。雨はおおかみとして生きることで自分の居場所を見つけたんです。

人間として生きることを決意した雪と大げんかして、小さい頃は助けてもらってばかりいた活発な雪をも圧倒するくらい成長して、それから確執ができてしたままなのがちょっと寂しい。花にもちゃんとしたお別れを伝えてないから。

 

雨が山に残る固い決意をしたことを察した花が、「お願いだからもう山には行かないで」と懇願したことにも、雨がいなくなって大雨の中力つきるまで山を探し回っていたことにも、母親の深い愛を感じます。雨だって花のことは大好きだったと思う。喧嘩したけどもちろん雪のことだって。でも、それ以上に山で動植物を守る役目を果たさないといけない責任を強く感じていた。寂しさを振り払っておおかみとして生きることを決意した雨のたくましい雄叫びは、最後花を笑顔に変えてくれたね。

自分の世界を見つけるのは誰だって難しい

この道で生きるとか、自分の正解を見つけるとか、人間だっておおかみだって難しいに決まってる。悩んでばっかり。まだ幼いのに、それでも自分の居場所を見つけようと苦しんで悩んで成長していった雪と雨は本当に強いね。そして何もわからない状態からスタートしたのに、彼がいない辛い状態でふたりの子どもを立派に育て上げた花のひたむきな愛には胸を打たれます。

 

あーめっっちゃ泣いた。花の気持ちになっても泣くし、雪と雨の気持ちになっても泣く。でもこの涙は爽やかに前向きになれる涙です。悩みながらもまっすぐに生きるあの家族から学ぶことは多いですね、もっとがんばろうと思える最高の作品でした。

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