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『勝手にふるえてろ』好きな人を想い続けるか、好きになってくれた人を選ぶか【ネタバレ感想】

松岡茉優、そうそれは地上に舞い降りた天使…いや天使というには雰囲気がちょっと違う気もするが、いずれにせよ神の類であるに間違いはない。映画、ドラマ、CM、バラエティ、MC…各方面で大活躍する松岡茉優の本気を初めて見たのは『万引き家族』だった。

万引き家族で彼女は女子高生のコスプレでエッチなシーンを見せてくれ、海では水着でそのたわわなおっぱいを揺らし、観る者全てを震撼させた。同作が2018年カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞したのは、ひとえに松岡茉優のおっぱいのおかげであるとまことしやかに囁かれるのも不思議ではない。なお、囁いているのは僕である。

さて、そんな『万引き家族』の出演で松岡茉優がいかに最高であるかがわかったのであるが、それよりも以前に出演、それも主演を果たしていたのが『勝手にふるえてろ』である。時系列を遡ることになるが、私は万引き家族を鑑賞した後、Netflixで本作『勝手にふるえてろ』を観たのだ。そして思った。やっぱり松岡茉優は最高。

万引き家族の松岡茉優は最高の「エロ」を見せてくれた。しかし今回語る『勝手にふるえてろ』の松岡茉優は、最高の「バラエティ演技」を見せてくれたのである。認めよう。彼女は最高であると。同じ時代に生きていることに感謝したい。しかも松岡茉優は、なんとあの小松菜奈と誕生日が同じなのである。2月16日。そう2月16日だ。何度でもいうが、2月16日だ。我々は忘れてはいけない。美女が二人この世に生まれ落ちた奇跡の日だということを。

 

さて、前置きが長くなったが、この語り方疲れるので以下はいつも通りくだけて書いていく。というわけでよろしく。でね、もうこれは松岡茉優の良さを280%出してくれた映画だと思います、『勝手にふるえてろ』。松岡茉優じゃないとダメだった。

原作は綿矢りさ。『蹴りたい背中』とか中学の頃に読みましたね、懐かしい。

 

本作は24年間彼氏なしのOL江藤良香(ヨシカ)が、中学から10年片思いしている一宮(イチ)と、ヨシカに思いを寄せる霧島(ニ)で揺れる恋愛物語です。

松岡茉優が歌う!泣く!叫ぶ!映画『勝手にふるえてろ』予告映像

この予告を見てわかる通り、完全なるコメディです。ちょっと頭おかしいヨシカなんですけど、ヨシカみたいな女子超好き。これで松岡茉優の美貌だったらもうこの世の男子は瞬く間にメロメロですよ。しかしこれは映画の中の話なので、残念ながら現実ではない。現実にアンモナイトを家に発注する美女はなかなかいないんです。

 

勝手にふるえてろ 松岡茉優出展:『勝手にふるえてろ』公式サイト

 

そう、ヨシカ演じる松岡茉優。この写真だけでご飯8杯食べれる。

なにこのかわいさ。やる気なさそうにだらんとアンニュイな顔して、左手にかかるパーカーの袖、ベッドの上に置かれたいちご牛乳の紙パック、やたらでかい黒縁メガネ、ダサい赤チェックのスウェット、もう見るもの全てがかわいい。これだけで映画観たくなりますよね、わかる。

そしてこのヨシカが10年恋い焦がれた相手こそがイチ。

勝手にふるえてろ 北岡匠海出展:『勝手にふるえてろ』公式サイト

 

イチを演じる北岡匠海。クールなんだけど昔からイジられ役でみんなの人気者のイチをしっかり演じてくれます。イケメンすぎるやろ。

そしてヨシカがイチとの間に心揺られるのが二。

勝手にふるえてろ 渡辺大知出展:『勝手にふるえてろ』公式サイト

 

二を演じるのが渡辺大知。ロックバンド「黒猫チェルシー」のボーカルで、なんとこの映画の主題歌「ベイビーユー」を手がけています。どうですかこの絶妙な三枚目っぷりの雰囲気。アホだけど一途で猪突猛進でけっこうキモいところを存分に演じてくれるいいやつです。

勝手にふるえてろ 石橋杏奈出展:『勝手にふるえてろ』公式サイト

 

そしてヨシカの親友クルミ。このクルミがお節介なことやっちゃってくれて、ヨシカを振り回しちゃうわけです。クルミ役は石橋杏奈。かわいい。

主な登場人物はこの4人ですが、他にも趣里、前野朋哉、古舘寛治、片桐はいり等々、名役者陣が大変いい味を出してくれます。

 

以下ネタバレあり。映画観てからの方が楽しめます

 

 

あー私ってホントクソヘタレ 思ってることたくさんあるのに何ひとつ言えてないんですよ

ヨシカのこの一言から始まるこの映画、実はこれが衝撃的な事実に繋がります、あとで書きますね。それにしてもヨシカは“歩く名言製造機”っぷりがすごい。初っ端から飛ばしまくりです。

「手の届かないものばっかり欲しがって 本能のままに生きるなんて野蛮 野蛮で承服しかねます」

あ…なんかヤバい人いるな…。 と感じさせる。いちいち言い回しがちょっとおかしい、この空気をいとも簡単に出してくれるヨシカ。さらに絶滅した動物の一覧をウィキペディアで見るのが大好き(ヨシカ語録「完全にウィキの奴隷です」)。ついにはアンモナイトの化石を発注し、届いた時にはもう今死んでも本望だレベルの恍惚とした笑みを見せてくれます。あとアンモナイトの「異常巻き」っていう単語が出てきますが、ここはさらっと流しましょう、なんか異常に巻いてんだろうなって想像するんですけどわけわからなすぎて笑います。

 

ちなみに僕がこの映画で一番好きな松岡茉優のシーンは、二と出会う飲み会でクルミの好きな人である出来杉君(高杉君)と乾杯するとこですごい白けてるとこです。あの時のヨシカの「一秒でも早くこの場から去りたい空気」が尋常じゃなくて最高。

 

彼女は彼女自身が編み出した超必殺奥義”視野見(しやみ)” を駆使して中学の頃から視野の端でイチを見続けていました。イチにかまってほしくて群がるようなクラスメイトと私は違うという強いプライドをもって。ヨシカの中学時代は今の言葉で言う”隠キャ”を体現したようなキャラクターで、のちに集まるクラスメイトにも誰だっけ?と言われるほど影が薄い存在でした。そんな中、イチを好きになってイチの漫画を描いていた健気さも、イチに唐突にそれを読まれた時のドキドキも、想像するだけでかわいい。

 

ヨシカの一途な想いはザッツビューティフルだよ

ヨシカはずっと、イチとのわずかな思い出を胸に10年生きてきたんです。黒板に100回「僕は忘れ物をしません」と書かされているイチに「ひとつくらい変えてもバレないんじゃない?」と声をかけて、実際にひとつ「僕は忘れ物をします」と書いてくれたこと、そしてそれ以来イチは反省文にひとつ反省してない文を入れるようになって、それをヨシカは”精神的に繋がっている証”として大事に大事に思っていること。運動会の閉会式で「俺を見て」と急に話しかけてくれたことを、ずっとずっと色褪せず大切な思い出にしていること。一途すぎでしょ。かわいいすぎるでしょ。ザッツビューティフルだよー。

 

あれ、でもヨシカってコミュ力高くね?

ヨシカ、中学時代は友達もいないで一人漫画ばっか書いてるような暗い女の子だったんですけど、今は同僚のクルミと仲がいいし、カフェの店員や駅員、釣りのおっさん、コンビニの店員、バスでいつも隣のおばさん等々、いたるところで抜群のコミュ力を発揮しています。え、いつの間にこんな超コミュ力身につけた?どこでデビュー果たした??と思うんですけど、実はこれがぜんぶ妄想だったことが発覚します

 

再開したイチが自分の名前を覚えていなかったことにショックを受け、そのまま一人帰って歌い出すヨシカの切なさ。「絶滅すべきでしょうか〜♪ねぇアンモナイト〜♪」のこの歌は裏主題歌でしょ。これ本当に切ない。冒頭で「あー私ってホントクソヘタレ 思ってることたくさんあるのに何ひとつ言えてないんですよ」ってカフェ店員に言っていたのも、そういうことだったんだなって。話しかけたいと思っても何ひとつ言えずに話しかけられなかったんだなって。

 

でもね、そんなヨシカだからこそ、中学の同級生「国外逃亡の紫谷玲奈(むらさきだにれな」の名前を勝手に使って同窓会を開いたのも、東京にいる人でまた集まろうよって方向に話を持っていったのも、一生の勇気ぜんぶそこで使ったんじゃないかってくらい頑張ったんだと思うんですよ。ほんとうによく頑張ったヨシカ。だからこそ。だからこそ。

 

おいてめえイチお前ぶっとばすぞ

イチはマジでダメ。本当にダメ。いやわかるよ?久しぶりに同級生とあって名前忘れることあるよそりゃ?でもね、イチは完全に最初からヨシカの名前知らなかったでしょ?興味持たなかったでしょ?だからダメ。

なのになんで絶滅した動物好きなんだよ!

お前ヨシカと趣味あってんじゃねえよ!!!

絶滅した動物好きって趣味なかなか合わないよ??10年思い続けた人が自分と稀有な趣味が同じだったこの喜び半端じゃないからね??しかも「君と話してると不思議」「自分と話してるみたい」って、は???そんなのお前これヨシカ(え、この流れまさかのいける…?)って思うからなさすがのヨシカでも!!そしてそこからの

「ごめん、名前なに?」

 

 

はああああああああ!?!?!?ぶっ飛ばすぞイチてめえちょっとツラ貸せコラあああああああああああああああ!!!!

 

ですよ本当に。やってくれたあいつ。もうヨシカの傷は癒えない。10年片思いしてきた相手がまさか自分の名前すら覚えてくれていなかったこと、こんなに辛いことある??

だからもうイチはだめ。どんなに愛されキャラで人気者でどんなにイケメンでどんなに絶滅した動物好きでもだめ。

 

自分を好きでいてくれる人を好きになる方が人は幸せになれる

というわけでここで二の株が上がるわけです。いやー東京同窓会でヨシカにマンションのエレベーターまでついていくという絶対的なキモさを発揮した二でも、挽回のチャンスが訪れました。

二は確かに色々とキモいけど、いいやつ。常にヨシカを楽しませようと頑張っててさ、不器用だけど、いいやつなんです。ヨシカに「付き合おっか、わたしたち」と言われて、「やったやったーーー!!うれしーーーー!!サイコーーーーー!!!!」と転げて喜んでた純粋さがよかった。でもそのあと「すぐに結婚はできないからね」って唐突に話飛びすぎたアホさが相変わらずキモかった。そのあとの展開でクルミがヨシカに彼氏がいたことがないことを二にバラしたことを言ってしまったのも最悪だった。まぁクルミも最悪なんだけど。

そういうナイーブなことは絶対に人に言っちゃダメなんだよな、ヨシカはクルミのことを信用して話したのに。恥ずかしくて人に言えなかったことなのに、信用して話した親友の裏切りとまで思うよそりゃ。

24年間彼氏がいなくて、処女がコンプレックスになってて、恥ずかしくて、言ってほしくなかったこと、それをようやくできた彼氏に知られてたらそりゃ死にたくなるし、もうそこから「つわり」って反射的にクルミに言っちゃうのもわかる。

まぁでも、結局二がヨシカを救いに来てくれてよかった。一時は着信拒否レベルで拒絶してたけど、やっぱり好きだったんだよ。いいやつだよほんとに。でもさすがに「俺との子どもつくろうぜーーーーーー!!!!」「聞いてほしかったんだよ、地球上の人々に」は気持ち悪すぎて死ぬからね。

 

好きな人を追い続けるのもいいけど、振り向いてくれないことの方が多いからさ。好きになってくれる人を好きになれたらそれが幸せかもしれないね。おめでとうヨシカ、なんだかんだ二とはお似合いすぎて、勝手にふるえてるよこっちは。

 

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