邦画

映画『糸』感想【ネタバレ】 織りなす糸はどこでめぐり逢うのか、怒涛のクライマックスに名曲が響く

こんにちは、さいちゃん(@saichans_b)です。

映画『糸』、公開初日に観てきました。元々2020年4月24日公開予定だったのが8月21日に延期になりましたから、首を長くして待ちわびてました。ほら、僕って小松菜奈すきじゃないですか?(知らねーよ!)  しかも本作は『ディストラクション・ベイビーズ』『溺れるナイフ』に続く菅田将暉との共演映画ですからね、(菅田将暉きさま…また小松菜奈と共演しやがったか…しかも熱愛報道までしっかり出てるじゃねえか上等だ…)と闘志を燃やして観てきたんですが、観終わった今、2人は末長く幸せになってほしいとしか思いません。

最後めちゃ泣いたから…。でまた映画の予告み直してちょっと泣いてる今も。

 

中島みゆきの『糸』から着想を得たという本作は平成の31年間を一気に駆け抜けていき、オバマ大統領の就任スピーチだったり東日本大震災が起きたりと本当に平成を振り返るような作品になっています。そんな中紡がれる、北海道の美瑛(びえい)という街で出会った高橋漣(菅田将暉)と園田葵(小松菜奈)の2人の物語。2人はどこでめぐり逢うのか、いったいどうやって織りなすのか、最後の最後まで目が離せませんでした。

 

以下、ネタバレで語っていきます。観ていない人は作品を観てからの方が楽しめると思います。

予告

映画『糸』予告【8月21日(金)公開】

 

漣と葵の出逢い〜小松菜奈なかなか出てこない件

菅田将暉が自転車で北海道を駆け抜けるシーンが映し出され(おぉ始まった…)と息を飲む。手首にはボロボロの赤いミサンガ。ん、小松菜奈に昔もらったやつかな?と思ったところで2人の出会いの回想に入ります。

 

中学2年の夏、花火を見ようと夏祭りの会場に急いで自転車をこぐ高橋漣と友人の竹原直樹。会場につくやいなや自転車から転げ落ち怪我する漣に、園田葵が絆創膏を渡す。ここが2人の出会いです。ちなみにこの時竹原は葵の友人である後藤弓に一目惚れするのですが、顔に「うわぁお…、出会っちまったぜ…」って書いてあるようでウケます。

 

漣は自分が怪我してるのに、葵の左腕に包帯が巻いてあるのを見て「だいじょうぶ?」と尋ねるんですね。第一声が自分の心配じゃなく相手の心配をする優しい漣だったから、葵も一瞬で恋に落ちたのかもしれない。漣、この時貼ってもらった絆創膏を生涯の宝物のように大事に机の引き出しに直します。かわいい、そしてわかる。僕も初恋の人にもらった四葉のクローバー、セロハンテープで貼って実家の部屋にまだあるからな…まぁその世界一どうでもいい話は置いておきましょう。

 

漣と葵はすぐに仲良くなって、蓮のサッカーの試合を応援してるときの葵のあの幸せそうな顔といったら。「将来は国立で試合したいな、世界に羽ばたく人間になるんだ」と夢を語る漣と、「漣くんならなれるよ」と背中を押す葵。やばいこれ…恥ずかしさ満点のセリフが吐ける無敵の中二だ…ってむず痒くなってるところで漣の「葵ちゃんのことが好きだ!」。これが面と向かって言うんじゃなくて丘に向かって盛大に言うもんだからもう恥ずかしさでこちらが死にます。晴れて両思いになった2人ですが、葵は思いつめた顔で「帰りたくない…」という。

「また明日会えるから。また明日、美瑛の丘で会おう」というも走り去る葵、翌日葵は丘に現れませんでした。

突然引っ越してしまった葵を追いかけて蓮は札幌に向かいます。葵は家で母親の恋人から暴力を振るわれていました。それを見ても無視してかばわない母親。マジでクズ。「あと二年耐える、中学を卒業したら働く。だからそれまでは耐える、たとえどんなひどい目にあっても」という葵に「こんなとこにいちゃだめだ」と葵を連れ去る決意をする蓮。

 

札幌に小屋で2人は一夜を過ごします。この時ファーストキスをするのですが、ここでラジオで『糸』が流れるんですね。おぉ…大事なとこで流すよね…と少しウルっときます。

ただ13歳の2人がいつまでも逃げられるわけではなく、翌日警察と一緒に追いかけてきた葵の母親とその恋人にあっけなく見つかります。この時の!葵の母親と!!その恋人が!!!!死ぬほどクズ!!!!! 思い浮かべながら腹が立ってきました。葵を見つけた母親は「心配したんだから!」といいつつも葵を抱きしめてこっそり「怪我は転んだことにしなさい」と耳打ちするんですよ、しかもそれを聞いたあの恋人のうすら笑い。もう鳥肌立つわ。葵と蓮の必死の抵抗むなしく、2人は引き離されてしまうんです。

 

でたぶんここまでで始まって30分くらい経つんですけど、思うんですね。

小松菜奈出てこなくね????

だいじょうぶ? 俺小松菜奈見にきたまであるけどだいじょぶこれ??って焦ります。いや、これが焦らしプレイってやつか…やるな監督…。

9年ぶりの再会にぎこちなさ1000%の菅田将暉が最高

時は平成22年、東京。竹原(成田凌)と弓の結婚式で蓮と葵は9年ぶりに再会します。

竹原から「園田葵もくるよ」と教えてもらった時のあの緊張と動揺した蓮の顔。札幌で引き裂かれて以来ですからね、どんな顔して会ったらいいのかわからない。席についてそわそわする感じもよくわかる。そしてここでやってくるんです、ぐるナイの新メンバーみたく引っ張って引っ張って、ようやく登場します。小松菜奈。

この登場がね、うおー!きたー!!って盛大な感じじゃなくて、ほんとひっそりと出てくる感じなんですよ。中学時代のおとなしい葵のイメージをそのままにしたように。目があった時の蓮の心臓の音、こっちまで聞こえてくるようでした。むちゃくちゃドキドキしてたな。

 

9年ぶりの再会を果たした2人の会話は、蓮の「(ケーキ)食べる?」から。しかも食べない葵、テンパって「俺たべる」と評論家のようにまじまじとケーキ見つめて食べてる。もう何話したらいいかわかんないならとりあえず「久しぶり」でいいじゃん!って思ってたら葵の「蓮くん、久しぶり」。さすが葵、落ち着いてる。「園田、今何してんの?」とか聞くけど、お前その呼び方どうした????”葵ちゃん”だったろ????って突っ込みたくなる。でも恥ずかしくて名前呼べないのわかる。

あの時助けられなかった後悔と自分を嘆いた無力さは、「俺なんてそんなもん」と蓮の夢を打ち砕くには十分だった。「国立競技場でサッカーする」「将来は世界に羽ばたく」子どもの頃に語った大きな夢を何一つ叶えられず挫折した今の自分が情けなくて、堂々と会えるわけもなく。「あの時のミサンガ、あれどこいっちゃんたんだろうなー」なんて笑いながら。

 

話した時間なんて5分もあっただろうか、「もう行かなきゃ」と会場を後にする葵。漣は慌てて追いかけて、本当はミサンガをついこの前切れるまでつけていたことを告白する。それでもただ「久しぶりに漣くんと会えてよかった」と握手を求める葵に、自分と違い、もう過去のこととして振り切れていることに愕然としていた。未練ばかりが残り、あの頃から一歩も踏み出せていない漣と違って、彼女はどこまでも前に進んでいたのだと。

 

高級車で迎えにきた男(斎藤工)を見て、漣の心は惨めな嵐が吹き荒れていたはず。

菅田将暉のぎこちない演技最高だったなー、落ち着いている小松菜奈と対照的にひとり浮いている感じがさすがだった。

カッコいいと見せかけてカッコ悪い斎藤工

漣と葵が9年ぶりに再会する一年前に、葵は年齢をごまかして働いていたキャバクラでファンドマネージャーの社長である水島大介(斎藤工)と出会い、付き合うようになりました。

キャバクラで葵が無理して酒を飲んでいるのを見て、何か事情があってここにいることを見抜き、「必要に迫られ金を稼いでる。誰も助けてくれなかった」と全てを理解したような達観した男が水島だった。か、カッコよすぎる、僕が女だったら濡れる…と思った刹那! ビールの炭酸でゲップし全てを台無しにしたのである。そしてそれがなぜか葵に刺さったのである!

 

それから葵は大学に入学し、水島と暮らすようになる。葵の生活費や学費も水島はかなり援助してくれたんだろうね。

夜中にうなされる葵を見て、「俺も昔はそうだった…」とこぼす水島。やっぱカッコいい…。と思っていたらリーマンショックで会社ヤバくなって葵や社員を残しひとり逃亡。

葵が沖縄の海で見つけたときは無精ヒゲをはやし、クールな金持ちから一転して修行僧のような出で立ちに変貌した水島。もうわけわからん。そもそも超絶好調の社長がキャバクラの未成年に手を出したのもなんかダサく見えてくる。でも会社から逃げる時に葵にはちゃんとお金を残しておくあたり、守るべきものは最低限…みたいなところはあるし、カッコいいとカッコ悪いを行ったり来たりする天才かお前は。

北海道で奇跡の再会を果たす漣と葵 「あのとき守れなくて、ごめんね」

蓮は職場の先輩である桐野香(榮倉奈々)と付き合うようになります。

10年付き合った彼の話をしては未練たらたらの香に自分の葵への気持ちが重なって

「何泣いてんですか何泣いてんだしっかりしろ!!!!!桐野香!!!!!!!」

と涙を流す蓮。ここの早口具合がたまらんかった。込み上げてきた。

 

香と一緒に暮らすことになり、役場に住所変更の書類を届けにきたところでまさかの葵と遭遇します。葵はもう何年もあっていない母親の生活保護の通知が自分のところにきて不審に思ってやってきたんです。

葵に付き合って漣は一緒に美瑛の実家を訪れますが、家は誰も住んでいる気配がなく、葵は「ここにいると昔を思い出しちゃうから」とそそくさと帰ってしまう。

 

葵の母親は肝臓(ガンかな?)を患いすでに他界していました。葵は母親の恋人から暴力を振るわれ、守ってくれなかったことを一度でいいから謝ってほしかった。そして一度でいいから抱きしめてほしかった。どんなに最低でも、世界にたった1人の母親ですからね。しかしもう叶わぬ夢です。

たまらず漣は葵をそっと抱きしめて、言うんです。

「あのとき守れなくて、ごめんね」と。

予告でよく見ていたこの写真がそのときのシーンでした。葵が幼少期の辛い思いを唯一共有したのは、漣だった。漣はこのときの葵に寄り添える唯一の人なんです。しかし、ここではまだ二つの糸は織りなさない。漣も葵もこのときそれぞれ恋人がいますから。

葵はシンガポールへ、遠く離れていく2人

葵が沖縄に戻ったら水島はまたお金を置いて消え去ってしまっていたんですけど、ほんとなんで毎回お金なんだ。そしてどこにいくんだお前は、るろうに剣心か何かか。

北海道で漣と別れ際、北海道にずっと残ると宣言する漣に対し、葵は世界に羽ばたくと返します。その言葉通り、葵はシンガポールへ。キャバクラで働いていた時からの親友である高木玲子(山本美月)がネイリストとして働いているというツテがありました。

タンクトップとショーパンの山本美月がやたらエロいという前提はさておき、2人は起業資金を貯め、いよいよ起業に至ります。しかしその記念すべき創立記念日に、日本では東日本大震災が起こるんです。

 

その日、北海道の病院で人々がテレビを見ながら悲鳴をあげている中、香は人知れず絶望に包まれていました。ガンの腫瘍が見つかったのです。漣の子供を身ごもっていましたが、自分の命を優先して堕ろし手術を受けた方がいいという父親とそれに賛成する漣を押し切り、抗がん剤治療を受けながら娘を産みます。

 

その三年後に香はガンが再発し、帰らぬ人に。夫である漣には「私は運命の糸はあると思う。その糸はたまにほころび、切れることもある。そして違う何かに繋がるの」「いけよ、漣」とと言い、出会った時と同じようにどんぐりを投げつけ力を込めた目で言います。自分がいなくなったあと違う誰かをちゃんと見つけるようにという意味が込められていたのでしょう。本当は自分がずっと漣のそばにいたかったし、結の成長を見届けたかったはず。それなのにこの言葉を贈った香の強さに胸を打たれます。

 

その四年後、舞台はまたシンガポールへ。葵の会社は順調に創立7周年を迎え、パーティーを開いていました。順風満帆に思われた中、玲子が会社の金を不動産に投資して失敗し、銀行からも多額の金を借りていたことが発覚します。玲子に裏切られた葵は、銀行の借金を水島にもらったままで手をつけなかったお金で返済し、会社を清算します。

天国から地獄への急転直下、すべてを失った葵は立ち寄った食堂でカツ丼を食べながらラジオから中島みゆきの『糸』が流れてきて、溢れてくるとめどない涙。本当に波乱万丈だ、葵の人生は。

 

平成が終わる日、つまり平成31年4月30日。漣は自分が作ったチーズがミシュラン三つ星のレストランに認められ、東京にきていました。地元北海道に残りつつも世界に羽ばたくといった葵を少しでも追いかけたくてチーズ国際コンクールに何年も応募していたんですが、そっちが成就する前に認められるべくところに認められる快挙を成し遂げました。

この日の昼、葵と蓮は東京で本当にかなり近いところにいたのですが、お互い気づかず。

この辺から、いや平成も終わるし、どこでこの2人の糸は織りなす??もう映画時間も残りわずかだよ??と心配になってきます。

 

蓮は当然のごとく北海道に戻るのですが、葵はかつての仕事仲間である冴島(高杉真宙)の誘いを受けまたシンガポールへ…(ここでいくわけないよね?ね??と念じてる僕)…いかず、ふと目を落としたスマホで地元美瑛で昔ご飯をつくってくれたおばあちゃん(倍賞美津子)の食堂の記事を見つけ、北海道にいくんです。インタビュー動画でこの食堂を始めたきっかけで葵のことを語り、「また会いたい」と言ってくれていたから。

縦の糸と横の糸がいよいよ織りなす平成最後の夜

食堂でおばあちゃんのご飯を食べて号泣する葵を後ろからそっと抱きしめてくれたのは、結でした。そこに漣が迎えにきて、ここで2人は再会…しない!(焦らすねえ!)

漣が結婚して子供がいることも知らないはずですが、結を迎えにきた父親の声とその後ろ姿で蓮だと確信します。そしておばあちゃんから漣の奥さんが亡くなったことを知るのです。

 

蓮は結と職場に戻り同僚たちに快挙を祝われるんですが、そこで結から食堂で泣いていた女の人の話を聞いて直感的に葵のことだと確信します。急いで食堂に戻ろうとするも、「どこにいくんだ」と問われ「そうですよね、どこに行こうとしてたんだろう」と一瞬我に返るんですが、結がここでどんぐりを投げてくるんです。香が死ぬ間際、「いけよ、蓮」と投げつけてきたどんぐり。それに背中を押されたように、走り出します。

食堂にはすでに葵の姿はなく、おばあちゃんから函館に行ったことを聞き、駆けつけます。そう、ここからが怒涛のクライマックスです。平成最後の夜、フェリーではカウントダウンが始まります。

しかし探せど葵は見つからない。一度フェリーに乗った葵はしかしここで蓮がきていることを直感し、戻ります。そうだ、見つけろ、運命の糸だろう? 探し合う2人、それでも出逢わない、おい、平成終わるぞ!! 名曲『糸』が大音量で鳴り響きます。 うあああああ見つけてくれ出逢ってくれえええええ!!!!!と神に祈るように僕も泣き叫んでました。

フェリーが出発し、「葵〜〜〜〜〜〜!!!!」と叫ぶ漣と一緒に僕も叫んでた。ここで「園田」じゃなく昔に戻ったように「葵ちゃん」「葵」に戻っていたのが最高!!!でもフェリーは行ってしまって、肩を落とし絶望したところに手を掴んできたのが、そう!葵でした。

そして蓮がかける言葉、「大丈夫?」って、何カッコつけてんじゃボケかっこいいわ!!!!!!出逢った時と同じで優しいかよ!!!!!うわあああでも出逢ったあああああ良かったああああああ(号泣)

 

最後、エンドロールで2人の結婚式が流れました。良かった。平成31年間を一気に振り返って駆け抜けていったような130分でした。小松菜奈のウエディング姿、美しすぎてさすがに女神かと思った。

 

漣と葵はほんとに10年スパンくらいの感覚でしか会ってないんですね、最後の出会いも含めて計たった四回。その間2人ともそれぞれ親友に裏切られたり、妻を亡くしたりと辛い思いをしているのですが、ちゃんと這い上がった。

 

これは冴島の言葉だけど「人は出逢うべき人に出逢うべく時に出逢うのだと思います」というセリフが、僕には本当にそうだなぁと刺さりました。出会いは当たり前のことじゃなくて奇跡なんだと改めて思います。もどかしいくらいなかなか織りなさない2人に途中心配になったけど、ちゃんと最後名曲と共に響かせてくれました。

 

▼小松菜奈と菅田将暉の共演作品も感想を書いています。

小松菜奈おすすめ映画10選!その妖艶な魅力に惹きこまれるこんにちは、さいちゃん(@saichans_b)です。 突然ですけど小松菜奈って、めちゃくちゃ綺麗ですよね。圧倒的なオーラと妖艶な...
『ディストラクション・ベイビーズ』を観ると菅田将暉の狂気的演技に一年引きずる【ネタバレ感想】こんにちは、さいちゃん(@saichans_b)です。 『ディストラクション・ベイビーズ』、これね、ぜったい観ない方がいいってフォ...
映画『溺れるナイフ』神的にカッコよすぎる菅田将暉に惚れざるをえない【ネタバレ感想】菅田将暉のほとばしるかっこよさ。小松菜奈は相変わらず可愛いし綺麗なんですけど、今回はそれ以上に菅田将暉のかっこよさと美しさがすごかった。神格化してました。今までごめんね菅田将暉、超かっこよかったっす…。...

▼ツイッターやってます。