邦画

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』 難解なタイムリープを紐解けるか【ネタバレ感想】

こんにちは、さいちゃん(@saichans_b)です。

CDや本などで、あらすじも知らずジャケットが良さげって理由で買うことをジャケ買いと言うけれど、この映画は僕にとってまさにそのようなものだった。「タイトルで観させられた」みたいなところがある。単純に「打ち上げ花火を横から見るってどゆこと???」と思うのだ。これはもう映画を観るしかない。

 

というわけで観てきましたが…

 

なんかよくわからない

 

これが率直な感想で。思ったより内容が難しく、「ん、あれ、俺頭わるいのかな…?なんかよくわからないぞ…?えっと、今、何が起きてる…?」という状態になった。ほのぼの系のアニメーション映画かなと思って気を抜いていたところはある。でも気合い入れて観ていても、初見では理解するのが難しかっただろう。最初の方は巨乳の先生とかパンチラとかにテンションあがってる”田舎の男子中学生感”もあって、10代の青春ラブストーリー系だと思っていたが、全然ちがった。

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」予告3

 

クールビューティーでアンニュイな雰囲気漂う及川なずな(声:広瀬すず)と、クラスメイトの島田典道(声:菅田将暉)の夏の「一日」の物語。なずなが母親の再婚の関係で転校することになり、それを嫌がるなずなを典道が「過去をやり直せる不思議な玉」を使って助けにいく。過去に戻る映画といえば僕は「アバウト・タイム」が大好きなのだけど、この作品は単純に過去に戻るってだけではなくて、そこで頭がこんがらがる。

以下ネタバレ。

 

この物語を難しくさせているのは過去に戻るのが「過去に戻ってそこからやり直す」というものではなく、「過去に戻ったら設定が変わってしまう」というもの。じっくり紐解いていこうと思う。タイムリープは三回。特に最初の印象的な変化は友人の安曇祐介(あずみゆうすけ、声:宮野真守)

最初の安曇祐介が良いやつすぎる

 

祐介は教室で典道に「なずなかわいいよな、告白してえ、二人で花火大会いきてえ」とか言いながら、これは完全に典道へのアシスト。いつもなずなを目で追っている典道の恋心に気づいていて、ハッパをかけるようにしている。

 

二人でプール掃除にいったらなずながいて、「ウンコしたくなった」と嘘をつき典道となずなを二人きりにさせる。そして戻ってきては50m競争で「俺に負けたらなずなに告れ」「なずなを取られたくないんだろ」と徹底的なアシスト役。

 

すると競争に勝ってなずなに花火大会に誘われる祐介であるが、家に迎えに来ることになっていたなずなをほったらかして、むしろ典道に自分の家に行かせるように仕向ける。

「なずなを好きだなんてギャグだよギャグ、あんなブス好きになるわけねーじゃん」と典道に気を使わせないようにするセリフまで吐く。祐介、お前イケメンすぎだろ。しかも医者の息子だと…ぜったい頭もいいなこいつ…祐介は典道となずなが花火大会にいって、告白して付き合えばいいとまで思っていたはず。ここでは。

 

そして典道はなずなと二人になって、なずなが家出をして街から出ていくことを告げられるも、引きとめもせずに一人でいかせようとする典道。「出て行ってほしくない」くらいのことを言えばいいのに、「マジかよ…」くらいのことしか言えないヘタレっぷり。おまえなにやってる。さらにはその後なずなは母親に見つかり連れ戻されてしまい、それを祐介が約束をほったらかしたせいとして殴りにかかる始末。おまえマジでなにやってる

 

とここで不思議な玉を投げてここで最初のタイムリープ。

 

もしも俺があのとき(プールで)勝っていれば

 

予期せぬタイムリープで過去に戻ったのだが、単純に戻るというのではなくて、世界の設定が変わっている丸いものは逆回転になる。たとえば以下。

・風車

・学校のらせん階段

・スプリンクラー

これらは時計回りが反時計回りに変わっている(わかりづらい)。

さらに、

・なずなの典道の呼び方が「島田くん」から「典道くん」に。

・「花火は丸い」と言っていた祐介の発言が「ひらべったいに決まっている」に。

・祐介はなずなが本気で好きで付き合いたいと思っている。

→なずなが家に来て、自転車でふたり抜け出しているのを見た祐介は本気でキレる

 

と、これらは設定がわかりやすく変わっている。つまり、不思議な玉を投げて「もしもあのとき…」と過去に戻ってやり直したというより、非現実的な世界に飛んでしまったと考える方がわかりやすい。一種のパラレルワールドなのだと思う。

 

典道となずなは花火大会にはいかず、駅へと向かい街からの脱出を図る。ホームのトイレで浴衣から白のワンピースに着替え、メイク、口紅をして16歳の少し大人っぽくなるなずな(超かわいいすき)。

ここで電車が到着するも、またもや母親に見つかり連れ戻されそうになってしまう。泣きながら何度も名前を呼ばれ、助けようとするも再婚相手の男にあっけなく殴られる典道。なにやってんだお前。そしてなずなは連れ戻されてしまい、祐介はとぼとぼ帰っていると友人メンバーと合流。

 

祐介は嫌悪感全開。「なんでなずながお前ん家きたんだ」「マジうぜえお前」とタイムリープ前と変わっている。なずなが本気で好きな祐介。

灯台で花火を横から見るが、明らかにひらべったい意味不明な花火が映る。典道は「ありえない世界」にいることを自覚する。この世界は違う。なずなとも一緒にいられなかったし、花火もひらべったい。だからここで二回目のタイムリープ。

 

もしも俺となずなが電車に乗ったら

 

電車に乗り込む前に連れ去られるところから始まる。再婚相手の男のパンチを華麗に避け、その隙に電車に二人で乗り込む。電車で座り込んでいる手を差し伸べたり(ここであぐらで座るなずなかわいいすき)と、このタイムリープでは典道が男らしくなっている。

なずなは「家出」はこどもっぽいから「駆け落ち」と呼んでと言う。これは一人の家出ではなく、二人の駆け落ちなのだと。二人はお互いへの恋愛感情を相手に伝えあっているし、唐突に松田聖子を歌いだすなずなは素を出せているところがある。

 

しかし電車に乗っているところを友人たちに見つかり、祐介も相変わらず怒って追いかけてきてさらに母親たちも車で追いかけてくる。逃げる際に「もしもお前がいなくなるとしても今日だけは一緒にいたい」と言う典道。完全に人が変わっている。二回目の典道は理想の自分なのかもしれない。

 

灯台でふたりで見る花火は丸いんだが、牡丹の花びらのようになっていてまたもや完全におかしい。「丸くてもひらべったくてもこんな変な形でも典道くんと二人でいられるならそんなのどっちでもいい」となずな。しかしここで祐介に見つかり鬼のタックルをくらったため三回目のタイムリープ。

もしも祐介やなずなの母ちゃんに見つからなかったら

 

海の上を走る電車。空も自転車も風車も水面のように映る世界になった。「まだまだ知らないことがたくさんあるのぉ」とか言って踊ってるなずなかわいいすき。三回目のタイムリープは「時計回りが反時計回りになる」とかいうかわいいものではなく、もう完全に異世界。異世界だから、戻らなくちゃいけない。いつまでも二人でいられないのはわかっている。これはなずなも言っていたこと。

 

不思議な玉が酔っぱらった花火師によって空高く打ち上げられ、世界が割れる。これは「もしも」と願ってできたパラレルワールドの崩壊を意味する。割れたそれぞれのガラスに映るのは理想(もしも)の世界。

・祐介はなずなとのデート

・なずなはいくつもの典道とのデート(プリクラ、遊園地など)

・そして典道の目にはなずなとのキス

そこから海でふたりはキスをし、下から花火を見る。打ちあがった花火は正しく丸く映っていた。なずなは「次に会えるのどんな世界かな、楽しみだね」と言って去ってしまう。

夏休みが終わり、最初の登校日。なずなは転校してしまった。典道はその日、どこに行ったのか出席していなかった。

 

最後に

 

この典道の3回のタイムリープの記憶は、典道本人だけ。なずなはその日の一日のことをわかっていなかった(典道くんがいうなら信じるとは言っていたけど、記憶はない)。

結局なずなは転校して街を出て行ってしまうのでこれは悲しい結末なのだけど、海で「次に会えるのどんな世界かな、楽しみだね」と言っていたなずなのセリフが救いになると思う。きっと次がある。典道は何を思ってか夏休み明けに登校していなかったけれど、それはなずなを救えなかった自責の念か、祐介への申し訳なさもあってか。だけどもしもの世界を経験して典道は確実に男らしく成長したと思う。次になずなに会えるとき、会いにいく時、

 

初見で物語についていくのはけっこう難しいのだけど、ここまで自分で書いてみて内容を少し理解すると面白いとは思った(まだ自分もわかりきれてないと思うけど)。あと下のDAOKOと米津玄師の打上花火は3億回以上再生されているという凄さ。曲の良さは勿論のこと映画の内容も振り返れる内容になっている。

 

前前前世 (movie ver.) RADWIMPS MV

 

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