邦画

『ディストラクション・ベイビーズ』を観ると菅田将暉の狂気的演技に一年引きずる【ネタバレ感想】

こんにちは、さいちゃん(@saichans_b)です。

『ディストラクション・ベイビーズ』、これね、ぜったい観ない方がいいってフォロワーさんから言われてたんですよ。菅田将暉のこと超絶嫌いになるからって。いや別にそれはいいんですけど、でも評判聞く限りは「救いがない」とか「とにかく暴力、とにかく破壊」とか、そういう物騒な感じの映画っぽいんで、僕はそういうのあんまりなー…ってタイプなので、まぁもう観ないで大丈夫かな、観ない方がいいっても言われたし…。って思ってたんですよ。でも僕ってほら、小松菜奈好きじゃないですか? 小松菜奈が出てる作品なのに、それは観ないで本当にいいのかなって思うようになっちゃって。僕の中の小松菜奈が囁いてくるんですよ。「ねぇ、わたしの作品観てくれないの?」って。それにほら、菅田将暉と小松菜奈の共演である『糸』が4月24日(金)公開予定だったから、その前に二人の共演作観ててもいいかなって。だから観ちゃいました。で思いました。

 

菅田将暉は映画界から追放して!?!?

 

困りましたよ。これは困った。やってくれた菅田将暉。もうめちゃくちゃに嫌いになるやつだこれ。もうね、それくらい入り込んでるの、役に。これは引きずるやつです。どうしよう、『糸』は公開初日に劇場に観にいく気満々でいたんですけど、もう綺麗な心で『糸』がみれないかもしれない。今これ書いてるのが2020年3月15日で、糸の公開4月24日まで一ヶ月ちょっとしかない。ちなみに教えてくれたフォロワーさんからは「ディストラクション・ベイビーズの菅田将暉が抜けきるまで1年かかるよ…」と恐ろしすぎること言われちゃったから、ちょっとやっちまった感がありますね。怖い。

 

で、ここまで長く菅田将暉菅田将暉書いてますけど、本作の主人公はこの人です。

柳楽優弥出展:公式サイト

 

芦原泰良を演じる柳楽優弥(やぎらゆうや)。 街の人々に次々と殴りかかっていくヤバいやつを演じます。本当に危険。こんなのと出くわしたら終わるなと思います。って心底思うくらいただならぬ演技でした。

菅田将暉出展:公式サイト

 

そして北原裕也を演じる菅田将暉。高校生なんですけど、芦原に魅入ってしまい一緒に行動を共にすることになります。本作の見所は間違いなく、こいつがどんどんヤバくなっていくところです。最初からヤバい芦原と違って、最初はわりと普通だったんですよ、そこから一番おかしくなっていく、狂気的な演技でした。そして嫌いになります。

小松菜奈出展:公式サイト

 

キャバ嬢である那奈を演じる小松菜奈。改めて思ったんですけど小松菜奈の美しさは異常。キャバ嬢役はかわいすぎるしエロすぎました。役の那奈は性格がなかなかに悪いんですが、不運にも芦原と北原に拘束されてしまい、その後まさかの展開になっていきます。

 

上記3人が主要人物なんですけど、池松壮亮や北村匠海もいい感じに出演しています。監督は『宮本から君へ』の真利子哲也。池松壮亮とはここでも一緒に仕事してたんですね。

 

予告

映画『ディストラクション・ベイビーズ』予告編

 

あらすじは簡単にいうと、「芦原っていう怪物」と「北原っていう怪物になっていくやつ」とが一緒になって人を殴りまくっていくという話です。簡単すぎるだろ!って思うかもしれませんがマジでそれです。

 

さて、ここから先はネタバレを含むのでご注意。映画を観てからの方が楽しめると思います。

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殴りまくっていく、人ならざる者「芦原」

主人公芦原が、街で見知らぬ人を次々に殴りまくっていくんです。普通に考えて怖いです。歩いていたらいきなり殴られるってヤバくないですか? 一瞬わけわからなくなりますよね。そこにあるのはただ「人を殴りたい」っていう衝動。顔面殴りまくって、で自分も殴られまくるんで、けっこう序盤から顔から血がエグいくらい出ます。「うわー…」って目を細めないと見れない。俺こういう暴力的なの苦手なのに…ってわりと観始めたのを後悔するレベル。

で、こいつのすごいところが、ほとんど喋らないこと。何考えてるのかわかりません。ほんと片手で数えられるくらいの言葉しか喋らないんじゃないかな。その数えられるくらいの中で言っていたのが、「楽しければええけん」

 

芦原は人を殴ることに、唯一の生きる楽しさを見出していました。ただ、人は選んでいないようで選んでいるようにも見えます。自分よりでかい相手だったり、暴力団だったり、複数である相手に笑いながら飛び込んでいっていました。ただ正々堂々ではまったくなく、襲いかかるのはいつも突然。後ろからだったり横からだったり前からだったり、相手は完全に「いきなり」殴られます。最初は「闘いたい」のかもしれないと思ってたんですけど、ああ違う、これは「ただ殴りたい」そして「スリルを感じたい」のだと思いました。スリルを感じることで、きっと彼は満たされていたのでしょう。自分が殴られることもスリルです。何度殴られても、痛みを感じないのかと思うほどに何度も掴みかかり、立ち上がる狂気。相手からしたらこんなに怖い奴はいないでしょうね。

 

彼は本当にスリルを感じたいだけだったのだと思います。それが証拠に、那奈を拉致した後にも北原と違いまったく性欲をみせませんでした。普通は小松菜奈級のどカワイイ女の子がいたら何かしら反応しますよ、普通の男は。ただ欲望を満たしたいだけの奴なら相手が女子でもめちゃくちゃに殴って、そのあとレイプするかもしれません。

また、トランクに閉じ込めようとした農夫が突如目覚め、那奈が衝動的に首を締めて殺したあと、芦原は初めて那奈に話しかけました。「どうやった?」「ん?どうやった?」と楽しそうに。人を殺めるというある種の高まりを体感した那奈に対して、そこで初めて興味を示したのです。ゾッとしました。

また、車の運転を代わってアクセルを踏み込んだとき、芦原はサングラスをとって笑いました。ゾクゾクしたのでしょう。自分の命が危なくなっても、それでいいのかもしれません。芦原にとっては自分の命さえもスリルを味わうために差し出すんです。そういうやつなんです。

剥き出しになる人間の性

本作の見所の一つが、菅田将暉演じる北原の変化です。最初は弱々しくて度胸もない人間でした。だから最初はちょっと違和感。なんか聞いていた話と違うなと。北原も最初からめちゃくちゃな奴だと思ってました。でも違いました、本当に怖いのは、そこから剥き出しになっていく人間の性なんです。

北原自身は精神的にも肉体的にも強くなくて、最初は公園でゴミの中から食べ物を漁っている芦原をバカにしたように写真を撮っていましたが、その後友人がボコボコにやられだすと守りにいかずにただ見ているだけ。めちゃくちゃビビっています。ただ、自転車を奪われた友人らが芦原に逆襲し出した時は、これ以上は死んでしまうと友人たちを止めて、「なんだ? もしかしていい奴なのか? これは正義感なのか?」と変な違和感を覚えたんですよ。でも思いっきり違いました。北原は純粋な暴力を望んでいる強くて芯のある芦原に対し憧れを抱いたんです。

 

しかし強そうな相手に挑む芦原とは違い、北原は前から歩いている女子高生をいきなり蹴り倒し、その後も女性を狙って蹴りまくっていくゴミっぷり。「前から思いっきり女を殴ってみたかったんや」とか言い出す本気のクズ。芦原は芦原で北原を止めようとする男どもをなぎ倒していくものだから、「獣使い」といって調子に乗っていくだけの北原。

考え方が非常に幼稚で、いちいち「海賊王になる」、「経験値」、「レベルが合わん」など、漫画やRPGにたとえる思考です。強いキャラを仲間にした主人公のつもりでしょうか。まるで無敵になったかのように傍若無人になっていきます。傲慢で、相手のことをまるで考えず、自分だけが満たされればいい。本当に救われない。

そして一番許せないのが那奈役の小松菜奈を拘束し、何発も殴って蹴ること。さらに胸を揉んだりふとももを触ったり、そのあとは映されませんでしたが物音がしていたのでレイプした可能性もあります(ただあの狭すぎるトランクでできるかというと疑問)。

マジで北原は万死に値する。

役といえど菅田将暉は映画界追放レベルですよこれは!あの野郎!!

 

さて、少々取り乱しましたが、実際は狂っていく菅田将暉の演技、素晴らしかったですね。警察に捕まるかもしれない恐怖と、芦原が自分にまったく関心がないことの苛立ち、自分自身は弱いことがわかっていることからの劣等感、そういう負の感情に揺られながら崩壊していく様は見事でした。

那奈の狂気性

不運にも連れ去られていった那奈。季節は夏ですから、ずっとトランクに閉じ込められて、食べ物も飲み物も与えられず地獄だったでしょう。さらに北原からは殴られるはレイプされるは最悪な展開です。ただし那奈自身はもともと悪いやつでした。万引きを常習的にやっていて、それを健児(北村匠海)に見られ、脅されてキャバクラに未成年を連れ込んだのを中国人の同僚のせいにしてました。

 

そして忘れちゃいけないのが、農夫の息の根を止めたのも、北原にとどめを刺したのも、那奈だということ。農夫を殺す理由はなかった。ただ、自分が北原らに受けた今の境遇や過度のストレス、死んだと思っていた人間が生きていた驚きから、反射的に首を締めてしまう。そこに理性はなかった。北原を蹴り殺すときも。いちばん那奈の狂気性が出ていたのは瀕死状態の北原を車の扉で何回も強く挟んで何発も蹴っていた時でしたね。あれは小松菜奈、迫真の演技だった。

 

そして罪を二人に着せて自分は悲劇のヒロインに徹するわけですから、したたかですよ。というか、下手したら車の衝突で死んでいたかもしれない。計画性はなかったでしょうね、もうどうとでもなれと思ったのかもしれない。でも結果として助かって、北原に復讐もできた。その後は一連の事件をブログに書いて公開し、「世の女性の勇気になれば」とコメントもしていたので、北原を殺したことに微塵も罪悪感を感じてなくて怖い。

つまりはこの主要3人、全員本当に狂った奴らでした。

 

それにしても、あの車の衝突で軽傷で済んで、北原を罵倒しながら蹴り殺すエネルギーすごすぎじゃないですかね。芦原もめちゃくちゃ血流してましたし、かなりの衝撃だったはずですけどね…。恨みっていうのは人間の根底にあるかなり強い原動力なんだなって思いましたほんと。

 

さて、感想は以上です。どうすっかなー、菅田将暉のイかれたクズっぷりを見ちゃったから、もうしばらくディストラクションベイビーズの菅田将暉が抜けなさそうです。4月公開『糸』とか綺麗な映画だろうに、どうしたもんかねこれ…確実に見るタイミング間違えたな…。なんとか公開前に、他になにか綺麗な映画見て心を取り戻していこうと思います。

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